ましゅ公と愉快な呟きたち

いろんなことについて書きなぐりたい。そして、それが誰かの役に立つといいなと夢想するブログ。

ましゅ公と愉快な呟きたち

全ては先進国の自慰行為。「FACTFULNESS」

どうもこんにちは。

ましゅ公です。

 

久しぶりの書評です!

本日語っていきたいのは、こちら。

 

「FACTFULNESS」

ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著

 

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おススメ度 :★★★★☆

キーワード :貧国、先進国の妄想、メディアの扇動行為、先進国/発展途上国

 

【こういう人にお勧めします】

ユニセフとかWHOの広告や活動に感動しちゃう人

・「世界で一番受けたい授業」など、教養系のテレビ番組をよく見る人

・アンチマスメディアの人

社会学部系の大学生

 

 

今年の1月に発売になった本作。

未だに書店で平積みで置かれるほどの人気作ですよね。

しかも最近売り切れになってるのか、あんまり本屋で見かけないような…私も、たまたま訪れた書店で、最後の一冊を手に入れました。 

 

さて。

皆さんは「世界で一番受けたい授業」って見たことありますか?

レッツホニャララで有名な、教養番組です笑

毎回いろんなテーマを老若男女どんな視聴者にもわかりやすく教えてくれる番組で、私も学生の頃によく見てました。

そのテレビ番組の中でよく取り上げられるテーマに「世界情勢」があったかと思います。

 

外国人の活動家なんかが来日して色々教えてくれるんですよね

「世界には学校に通いたくても通えない子供がたくさんいる」

「世界には清潔な衣食住を享受できない人たちがいる」

「女性の性について、まだまだ世界的に見ると理解が足りてない(幼くして妊娠する少女だったり、避妊をしない、だったり)」

当時これを見て、世界には辛い思いをしている人が五万といるんだ、それに比べて私はなんて満ち足りた生活をしているんだろうか!とショックを受けたものでした。

 

まあ、世界で一番受けたい授業も、視聴者に私みたいに思ってほしいから制作していたのでしょうが。そして、同時にユニセフ募金とかWHOの活動に関心を持ってほしいからでしょうが。

 

あとは、私たちが自由気ままに生活することで環境がどんどん破壊されていく、絶滅危惧種の動植物が増えていく…なんて脅しめいたことを公演することもありましたね。

 

でも、そんなショックも、このFACTFULNESSを読んだあとではむしろ疑問符に変わるかもしれません。

 

この本は10の本能のせいで、私たちは視野狭窄に陥っている、と説きます。

その本能とは

1分断本能

2ネガティブ本能

3直線本能

4恐怖本能

5過大視本能

6パターン化本能

7宿命本能

8単純化本能

9犯人探し本能

10焦り本能

となります。

まあここでは本能について説明はしないのですが、「この本能なんやねん」って思ったら一度読んでみるといいかもしれません。平易な文章でメチャ読みやすいので。

 

私は一通り読み通して、私たちが知っている世界像っていうのは、ひとえに先進国に住む人々が自分たちの生活は疑いがなく満ち足りたものである、って思い込ませて反発心を持たせないようにするために創り上げられたものなんだなって考えました。

 

みんな先進国に生まれてよかったって思うよね。

だってマック食べたいなって思ったらマック行けるじゃん。

コンビニいけるじゃん

パソコンでyoutube見れるし、スマホ持ってたらゲームできるよ。

下水の機能は整ってるよ。

なんなら日本はトイレットペーパー流せるしね。

 

でも、「先進国に生まれてよかった」っていう感情は、先進国じゃないどこかとくらべないと沸かない感情だと思うの。ほら、相対評価ってやつ。

 

だから、そんな時に役に立つのが、発展途上国やあまり国家的に豊かでない国、情勢が不安な国。

 

まあ、そこで起こっていることは確かに事実で、現にソマリアなどアフリカの一部の国では年端もいかない少年が戦争に従事していたりする。水を汲みにいくために片道2時間かかるところに住む人々もいる。それは確かに事実。でも、そんなのは本当にごくまれでしかないし、なんなら、それを語る前にできることがたくさんある。実際に動いている団体もいる。

 

でも、地球上のみんなが満ち足りた暮らしを送れる日は、私がおばあちゃんになってもやってこないだろうと思う。(まあ、「満ち足りた国」は多少推移しているだろうけど)比較しないと人は生きていけないから。

 

だから、「先進国」と「発展途上国」ってカテゴリを作る。発展途上国の定義って現代社会とかの授業でチラッと習うけど、今や発展途上の定義って曖昧じゃない? そして先進国もなんだかよくわからなくなっていたりする。進んだ国なのにアメリカみたいに肥満で死亡率が高い国があったり、フランスやイギリスみたいに情勢不安でテロめいたものが起こったりする国もある。これらを果たして「先進」と呼んでいいものか。むしろ後退してる感じが否めねぇ。

 

そして、一度自分たちの生活基盤が揺るがされると「あいつのせいだ」とか攻撃し始める。

最近、鮭の値段がやけに高いな、と感じませんか?

直近で訪れたスーパーでは、塩鮭が1切れ150円で売られていました。私が中高生の時は100円切っていたような気がするのですが。

 

鮭に限らず、マグロなど多くの海産物に当てはまるのですが、中国を始め、これまで肉を主に食べてきた国々が健康志向で海産物に目をつけるようになったそうなのです。それは同時に、海産物を購入できるくらいの余裕を持った人たちが出てきた、ということにもなるのですが。

で、中国はお得意の爆買いを繰り広げ、めちゃくちゃ市場を荒らしまくる。そのせいで日本のとりぶんがなくなり、値上げに繋がってしまっているそうなのです。

 

これを目の当たりにした日本人は叫ぶんですよ「肉を食ってろ」と。

てめえらがサーモン食うから日本の伝統的な和定食の姿が崩壊の一途なんだよ、と。魚は日本の食文化なんだよ、と。

ちょっと金を持ったからってアホみたいに食いやがって…みたいに、もう悲痛の叫びの荒らしですよ(ちなみにこれは私の叫びです←)。

 

そんでもって、テレビでは変なグラフを用いて日本が陥る魚不足について説明するんですよね。「もう君たちの取り分はすずめの涙ほどだよ」と。

 

たまったもんじゃないですよね。

もう勘弁して欲しいですわ。

 

でも、本当にそうなのでしょうか?

本当にこのまま日本は魚介類不足で嘆くの?

 

…そうじゃないでしょう。

魚がなかったら困る業界がたくさんあります。

そのためにも養殖だったり仕入先だったり、はたまた科学の力を借りたりして頑張るでしょうし、そもそもそんな情報、デマかもしれません。

 

日本人の食に対する不安を煽ることで、「最近力をつけた野蛮な国がどうやら大変なことをしているようですよ?」ってラノベのタイトルみたいな幻想を植え付けて差別意識を芽生えさせようとしているかもしれません。そして、悲劇のヒロインの私たち、なんて高尚なのかしら…!と思わせたいのかもしれません。

 

…魚の話は趣旨が違ったかもしれないけども…

人は比較することでしか自分の立ち位置を測れない。

そして、自分が優位に立っているということで初めて、人というのは満ち足りた気持ちになるものです。

そんな悲しい性ゆえにINFACTFULNESSな情報ばかりが世の中に蔓延るようになってしまいました。そして盲目になる私たち。

 

真実を知りたいのであれば、一度目の前の情報を疑った方がいいかもしれません。

そして、自分で正しい情報にたどり着けるようにしよう!

そんなことを教えてくれる本でした。